少し前の話だが、ウズミ・ナラ・アスハが死んだ。敬意を払っていた人物でもあった為、炎に包まれて消えるシーンには落涙を抑えることが出来なかった。

 さて、オーブ首長国連邦は日本である。この一事にはどなたも異存ないであろう。
 対象年齢5歳以上の「あの」番組において、オーブが現代日本をモデルとした国家であることを解せぬ人間など一人も居まい。
 オーブお披露目の日には大変に驚いたものだ。「日本の現実的な理想像をここまで描いて問題は無いのだろうか?」と。 
 
 そもそも、左翼主義者の巣窟である言論界において。「 た だ 、 ガ ン ダ ム だ け が 左 翼 で は 無 い 。 」
 これは明白な事実である。その視点で見てもらえば万民が解するであろう。左翼全盛の昭和末期、ガンダムは反逆であった。
 
 ここで、「左翼」の定義をしよう。日本に実在する左翼とは、天皇制に反対する人々や土地の公有化を目指す人々のことでは無い。
 無論、彼らは上記の事を標榜している。が、彼らの主目標はそれでは無い。
 彼らは「 自 分 が 平 和 や 幸 福 に 貢 献 し て い る 」と思いたい人々の集まりである。  
 そして残念ながら、彼らに現実世界を騒がす能力(犬猫にも備わっている)はあっても、具体的に維持・運営していくだけの力は無い。彼らの多くは貧しく、そうでない者も与えられた価値観以外の者を受け入れるだけの知力が無い。
 彼らは、与えるだけの度量が無い故に貧しく。主張が無内用な為に無力に甘んじているのだ。そして、その事実に気付く気配は無い。
 実社会は政治・経済が維持し、軍事と外交条約が保証している。有史以来の法則である。千羽鶴を折ったところで原爆は防げない。
 「 2 発 目 を 防 い で 来 た の は 、 君 達 の 憎 む 米 軍 ・ 国 軍 な の だ 」 これは事実である。そして左翼とはこの種の事実を理性で認識できない人々である。

 ガンダムを語ろう。ガンダムで人気のあるのは、やはりジオン軍である。敵役にも関らず、だ。
 何故か、彼らは絶大な支配から逃れるため、独立を図ったが、力及ばず敗北を喫する事になったからだ。無論、それは人気を集める主要因では無い。
 視聴者達は潜在的に知っているのだ。たった、数十年前に全く同じ運命を辿った人々が居て、彼らはロクに鎮魂すらされていないことを。

 社会教育の中で必要不可欠の物の中に軍事教育がある。
 軍事教育と言っても、射撃や戦術の学習を指すものでは無い。
 大人は子供に、社会における軍事の役割と禁忌を知らしめる責務があるのだ。我が国の成人達でその義務を履行している者が幾人いるのだろうか?
 そして、我々は仕方なくガンダムから学んでいる。30を過ぎた人間でもガンダムを見ているのはある意味仕方ない事なのかも知れない。
 我が国では正史上の英雄・天才が意図的に歪曲・封印され、それらの事跡について広義に語り合う事が非常に困難であるからだ。
 楠木正成・北条時宗・明治天皇、日本史的に何をした人であるか、日本人はその意味を知っているのだろうか? いや、知るまい。それが洗脳なのだから。
 民族は必ず共通の英雄を持ち、そこから何かを必ず学ぶ。美学や策略、地政的宿命等を英雄(この文脈中では主に軍事成功者を指す)から吸収し共有する。
 フランスのナポレオン・シナの曹操・アラビアのサラディン・ヨーロッパ世界のアレキサンダーとカエサル。例を挙げればキリが無い。だが、彼らは確かに共有しているのだ。そして、共有することが円滑かつ効率良い、共同体の運営に直結している。
 我が国に英雄は居ない。いや、外国人は比較的正確に評価しているのだが。全て、左翼と呼ばれる人々によって抹殺されてしまったのだ。彼らにとって英雄程都合の悪い存在はないから。

 放送終了後、十数年。今尚、彼らが熱く語られているのは何故だ? ランバ・ラル ドズル・ザビ
ギレン・ザビ ただの漫画のキャラクターではないか? 
 答えは簡単である。彼らは封印されてしまった英雄達の代人なのだ。視聴者の中でも幾許かの感受性を持っている者は、彼らに臨在感を感じてしまうのだ。故にガンダムは今尚語られる。
 繰り返そう、ここが普通の国家ならば、人並みの独立心を持った普通国家ならば。今語られているのは明治帝であり時宗であり聖徳太子なのだ。

 ウズミ・ナラ・アスハは間違いなく(広義の)天皇であろう。そして、ブルーコスモス・プラント強硬派間の対立が何を意味しているのかも、明白である。
 時勢論に自国の先人を引用出来ない、我が国は本当に不幸である。
 理を知る人のみが、ウズミの死の本当の意味を解したのではないだろうか。

 

 俺は。優れた先人に免じ、この時代の愚者達を許そう。

 そして、悼み・誓う。 無論、公人として。

コメント

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

まだテーマがありません

日記内を検索